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2011年02月 アーカイブ

ミケネ美術

「ティリンスの官女」という美術品があります。


高さ39センチ、前13世紀、アテネ国立考古博物館所蔵。


ティリンスの大メガロンには等身大の女性の行列が壁を飾っていました。


そのうちで少なくとも4人の頭部断片がアテネの国立考古博物館に展観されています。


そのうちで最も保存のよいのが本図です。


全身では2m以上あったでしょう。


その胸を開いた上衣も髪の結い方もまったくクレタ風で、「パリの女」と同型の女の姿です。


しかしここにはクレタ女性の清新で魅惑的なものはありません。


前開きの上衣からは大きな球のようなあらわな胸がつき出ていますし、額にかかる毛は背に垂れる束ねた髪と同じ太さの3つの房になります。


また上衣の縁飾りはまるで板紙をはりつけたようです。


耳も目も口も「パリの女」のみずみずしさはなく、自然主義の後退はまぎれもありません。


自然主義といえば、クレタ人は宮廷生活と花鳥画を画題の主域としましたが、ギリシア木土でも草花は美しく、海生動物は目についたにちがいないでしょう。


それだのにミケネ人では花鳥画は壁画の主題目とならなかったのです。


床には魚やイルカ、また花の図案を描いたとしても、花園や海底の光景は興味をあまりひかなかったのです。


樹木や動物を筆にしても、それらは副次的、添物でしかなかったのです。

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