ミケネ美術 2
樹木も花もその種類は判定しにくいものです。
自然の美しさと悦びをミケネ人は汲みとることはありません。
このように自然との共感をおぼえぬミケネ人にあっては、人物に、行動している人間の姿に画して、人物にも構図にもクレタと異なるものが感じられます。
3頭の馬はほとんど同じ姿勢をしているし、家は目をむけています。
それでクレタ人からは宮廷生活からの取材は受け継ぎ、行列や牛跳びなどは描かれています。
しかしクレタ画家が知らない人間生活の一面があらわれてきます。
格闘、狩、また馬がひく戦車や戦士などがそれです(ミケネ、ピュロス、ティリンスなど)。
好戦的、尚武的な場面に関心がむいています。
ティリンスの猪狩の図はその一端に人の手が残っているし、ティリンスでは女性も戦車にのっています。
ミケネの社会の反映です。
「ミケネの戦士と馬」は、前14世紀のもの。
戦士の武装はクレタとまったく異なって、ギリシア風のチュニックを着て脚甲をつけています。
一人は兜をかぶっています。
この兜は猪の牙でおおわれていて、現物も出土しています。
馬や戦車はミケネ時代にはじめて表われます。
馬のたてがみは2ヵ所で束ねて飾毛のようです。
まだ鐙はありませんが(クレタ陶器の鐙壷の名は現代の命名です)、くつわはつけています。
戦士はもとより、馬も戦車も戦士社会にふさわしいですね。
この図版は大部分が復原されているにしても、服装は別にそれは写実よりも形式化に向かって左の2人は同じ表現の繰り返しに近いです。